NPO法人について概説1
NPO法人とは
特定非営利活動促進法(NPO法)が1998年に施行されました。法律の施行には、市民によるボランティ活動が盛んになってきていたという背景がありました。NPO法は、幅広い分野で非営利な活動をする団体に法人格を付与することで、市民の社会貢献としての非営利活動の健全な発展を促進し、それが公益の増進につながることを目的としています。
NPO法人は、NPO法が定める20項目の特定非営利活動を行うことを主たる目的に設立された法人のことです。20項目の特定非営利活動を以下に示します。
20項目の活動分野
NPO法人の活動は20項目の分野のいずれかに該当しなければなりません。また、特定非営利活動が法人の主たる活動と判断されるためには、特定非営利活動の割合がその他の活動を上回って50%以上を占める必要があります。
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体に運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
その他の事業
NPO法人が20の分野で実施する事業を特定非営利事業といいます。この本来事業に支障がでない限り、当該特定非営利活動に関わる事業以外の事業(これをその他の事業という)にも取り組むことができます。その他の事業を実施する際の留意点は下記の通りです。
- その他の事業で利益を生じたときは、当該特定非営利活動に係る事業に使用しなければならない。
- その他の事業の会計は、本来事業の会計から区分して経理しなければならない。
社員
団体がNPO法人として認証されるためには、社員が10人以上いなければなりません。社員の定義を確認します。
- 社員は法人の構成員で、社員総会に出席し、議決権を行使できる。
- 誰でも社員になることができる。NPO法は社員資格の取得、喪失に不当な条件を付けてはならないとしている。
- 定款等の定めにより、社員を正会員と呼称する法人もある。
準会員、賛助会員等の社員以外の会員に関しては、入会条件を設けることができます。
役員について
役員
役員の資格等を確認します。
- 役員とは理事と監事をいう。
- 理事は3人以上、監事は1人以上置かなければならない。
- 任期は2年以内において定款で定める期間とする。
- 理事、監事は社員以外からも選ぶことができる。理事は職員を兼ねることができるが、監事は理事や職員を兼ねることはできない。
- NPO法第20条に規定する欠格事由に該当する場合は役員になることはできない。
NPO法は第21条で役員の中に含まれる親族等の人数に制限を設けています。役員によるお手盛り運営を防止するためです。役員選任にあたっては第20条とともに確認しましょう。
理事
理事の役割等についてです。
- 理事はNPO法人の業務を代表する立場にある。
- 理事長、代表理事等の代表権を有する理事を選任することで、代表権を集中できる。この場合、他の理事の代表権は制限される。法務局へは代表権を有する理事のみを登記する。
- 定款に規定することで、副理事長、専務理事等の役職を設けることができる。
- NPO法人の業務は理事総数の過半数を持って決定する。決定機関として、理事会、評議会等の任意機関を設けることができる。理事は決定事項に基づいて業務を執行する
理事は法律上の責任を負っています。当該法人や第三者に対する損害賠償責任を負うことになったり、罰金、過料の対象になったりすることがあります。
監事
監事の役割等についてです。
- 理事の業務の執行状況を監査する。
- NPO法人の財産を監査する。
- 業務または財産に関して、不正行為、法令違反、定款違反の事実を発見した場合には社員総会または所轄庁に報告する。
- 不正行為等の発見した事実を報告するため、社員総会を招集することができる。
- 監事監査報告書を作成し、社員総会に報告する。
監事も理事と同じように法律上の責任を負っています。当該法人に対する損害賠償責任を負うことになったり、罰金、過料の対象になったりすることがあります。