はじめに
認証NPO法人のビギナー担当者向けに、NPOの実務を解説します。
法や条例に沿って進めるNPO事務
NPO法人の目的、設立などの概念は特定非営利活動促進法(NPO法)で定義されています。これは、NPO法人はNPO法に沿って管理、運営していくことを意味します。NPO法とともに、法人を監督する所轄庁(都道府県知事や政令市の長)の条例も順守します。事務の仕事は法や条例の規定を確認しながら進めていくことになります。
スムーズに仕事を運ぶため
事務仕事は、事業年度終了後、新年度に入ってからが正念場といえるかもしれません。所轄庁へ届け出る書類を作成しなければならないからです。法務局への届けも必要になる場合もあります。こうした手続きには期限があるので、ぼやぼやしてはいられません。仕事がスムースに運ぶよう、守らなければならないルールや、基本的な認証NPO法人の実務について説明していきます。
サイドバーから、記事をピックアップし閲覧してください。
その前に、業務の流れを確認しておきましょう。
業務の流れ
事業年度終了から所轄庁へ報告書を提出するまでの大まかな仕事の流れを列挙しています。
- 決算書類の作成
- 前事業年度の決算を締める。
- 会計帳簿の数値を確定る。
- 活動計算書、貸借対照表、注記、財産目録等の決算書類を作成する。
- 監事監査
- 決算書類を揃えて会計監査を受ける。
- 現金出納帳、総勘定元帳、仕訳帳、証憑、領収書、通帳、事業報告書などの資料を用意する。
- 業務監査を受ける。
- 理事、理事長の業務執行状況、理事会運営状況の把握用資料を用意する。
監査結果については、この後、開催する理事会、通常総会で監事が報告したうえで承認を受けることになります。決算承認会議が理事会なのか通常総会なのかは、定款に明記されているはずです。
- 理事会、通常総会の開催
- 議案文書を作成し、理事会、通常総会を順次開催する。
- 理事会、総会で決算、事業報告書、新年度活動計算書、役員人事案等の議案の承認を求める。
- 承認後、所轄庁へ提出する届出書類を整える。
- 法務局へ届け出が必要な場合は、変更登記手続きをする。
一連の流れで作成する決算書類は所轄庁に提出する活動計算書類と内容が重なっています。また、会議のために作成する議案文書の多くは、所轄庁への報告書と同じ内容になります。つまり、決算書や会議の議案関連文書を仕上げる作業は、届出書類の作成とイコールになります。
書類の種類や記載すべき内容を把握することが、NPO法人の実務を理解する早道ということです。従いまして、まずは、所轄庁へ提出する書類の作成からみていきましょう。