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Coluboと会計報告

ある会計報告に関心が集まっています。何故、こんな事がと考えさせられる出来事です。

注目されているのは、東京都からの委託で「東京都若年被害女性等支援事業」を実施している「Colabo」という一般社団法人の令和3年度分の会計報告です。会計報告の内容に不正があったとする住民監査請求があり、都監査委員は会計報告の一部に不当な点があることを認めました。都にこの事業の経費を再調査し、委託料の過払いなどが認められた場合は、令和5年2月28日までに返還請求等の措置を講ずるよう勧告しています。

この件はマスコミにはあまり取り上げられていませんが、SNS上では昨年から話題になっています。一般人男性がこの問題を掘り起こして住民監査請求をするとともに、新たな疑惑や不正と思える点を探し出してはSNSで発信を続けています。

NPOについて扱う当ページで、一般社団法人の話題に触れたのは、この問題にNPO法人も関与しているからです。都は同事業の実施を、「Colabo」以外にも3団体に委託しています。残る3団体のうち2団体がNPO法人です。一般人男性は、残る3団体の会計報告についても不正を強く疑がっています。また、別の人の調査で、NPO法人のうちの1団体が提出して都が受理した活動報告書が、同一年度にも関わらず2種類存在するのではという疑いも浮上しています。

SNS上では、この事業に関連する疑念が数多く指摘されていますが、まだ、いずれも疑念の段階です。都監査委員が都に必要な措置を勧告した一般人男性の住民監査請求においても、不当な点があると認められたのは訴えの中の一部にすぎません。男性は住民訴訟を提起する構えですが、いろいろな意味で黒白がつき、疑念という言葉抜きでこの問題が語れるようになるのはまだまだ先になりそうです。

ということで、指摘されている疑念については触れませんが、それでも、なお、考えさせられるのは会計報告に関する部分です。都が委託費を請求通りに支払ったということは、その報告を承認したことになります。都監査委員に再調査を求められるような不備な報告内容だったにも関わらず、ということです。

この事業で団体に支払われた令和3年度分委託費は約2600万円です。公金を使用する事業を受託した以上、丁寧な報告をしなければならないと思いますが、団体側は提出前にきちんと点検したのでしょうか。都も団体が公金をどのようにつかったのか、受理する際に細かく確認しなかったのでしょうか。

NPO法人も事業費に補助金など公金が入ることがあります。その際、報告書に不備があるにも関わらず、相手が黙って承認してくれるなんてことは、両者の間に特別ななにかがなければあり得ません。杜撰な報告書でも通るという甘い考えは持たないことです。会計報告の辻褄が合っていなければ、領収書を水増しするなどの犯罪行為はなかったとしても、補助金の返還を求められるようなことになりかねません。

NPO法人の事業や会計の報告書は公開が原則です。報告書は日ごろのNPO活動にどのような姿勢で臨んでいるかを知ってもらうツールでもあります。曇りのない説明があるからこそ、人は迷うことなく支援の手を差し伸べてくるのではないでしょか。明瞭、正確な報告書の作成を心がけたいと思います。


今回の問題に関心のある方は、一般人男性が運営するYouTubeの「暇な空白チャンネル」(https://www.youtube.com/@himanakuuhaku)で確認してください。また、「Colabo」ホームページ(https://colabo-official.net)には指摘に対する反論が掲載されていますので、併せて確認してください。東京都監査委員のホームページ(https://www.kansa.metro.tokyo.lg.jp)で、この住民監査請求の監査結果を確認できます。

2023年2月25日