会計実務について会計2

事業費は明確に

NPO法人が目的を達成するために行う事業は、会費や寄附などが財源になっています。資金を提供してくれた人のためにも、事業に費やした費用は明確にしなければなりません。このため、NPO法人は会計処理で事業費と組織運営に要した管理費を分けて記載します。

事業費とは

事業実施に必要な費用のことです。事業ごとに人件費とその他の経費として処理します。

  1. 人件費:事業に直接関係する人に関する費用
    •  給料手当
    • 法定福利費
    • 福利厚生費等
  2. その他経費:事業に直接関係する費用
    •  講師謝金
    • 会議費
    • 旅費交通費
    • 会場費等
管理費とは

組織の維持、管理、運営に必要な費用のことです。管理業務に関わる費用として人件費とその他の経費として処理します。

  1. 人件費:組織運営に関係する人に関する費用
    • 役員報酬
    • 給料手当
    • 法定福利費
    • 福利厚生費等
  2. その他経費:組織運営に関係する費用
    • 会議費
    • 旅費交通費
    • 減価償却費
    • 交際費等
役員報酬について

NPO法人の役員は理事と監事のことをいいます。理事は3人以上、監事は1人以上置かなければならないことになっています。役員報酬を受けられるのは、役員総数の三分の一以下と定められています。役員報酬の支払い基準や報酬額の算定等に関しては理事会や総会等の判断、決定が必要になります。

ここでいう報酬とは役員としての仕事の対価のことです。理事が法人の職員を兼務している時は、労働の対価ということで給料になり、報酬ではありません。会議などに出席した時の旅費等の実費弁償も報酬にはなりません。

役員報酬の有無は、毎事業年度終了後に所轄庁に提出する書類の中の「年間役員名簿」に「役員報酬を受けた期間」の記載欄があるので、役員報酬かそうでないかの取り扱いは明確にしておく必要があります。

年間役員名簿に記載する「役員報酬」に該当するのは、管理費に計上される役員報酬だけで、事業費に計上される役員報酬は含まれないと解釈されています。役職と事業費、管理費の区分による役員報酬と給与の分類は次の通りです。

役職事業費管理費
役員1役員報酬役員報酬
役員2役員報酬
役員3給料手当給料手当
監事役員報酬
  • 役員1:役付役員
  • 役員2:非役付役員・運営管理に関わる立場
  • 役員3:非役付役員・職員として関わる立場

分類の中の「役員1」(役付役員)は理事長等代表権のある理事のことで、運営責任を担う立場であることから業務行為の対価として支払われるすべてが役員報酬の対象になります。

分類の中の「役員2、役員3」(いずれも非役付役員)は代表権を有しない理事をいいます。このうち役員3は使用人兼務役員といわれる、スタッフ(職員)の立場であるものをいいます。使用人としての業務は役員報酬の対象になりません。