総会や理事会の開催会議1
通常総会は年1回必ず開催
NPO法人の最高意思決定機関は社員総会です。社員とは、総会議決権を有する法人の構成員のことで、定款で「正会員をもって特定非営利活動促進法(NPO法)上の社員とする」などと定義しているはずです。
定款の会員の項に正会員、賛助会員の区分があり、「総会は正会員をもって構成する」などとあるときは、正会員には総会議決権がある一方、賛助会員は出席は可能なものの、総会議決権はないということになります。
総会は通常総会と臨時総会の二種類があり、通常総会は少なくとも年に一回は必ず開かなければなりません。
開催の準備
通常総会を開催するまでには段取りが大切です。会場の確保に開催日の決定、招集通知の作成から発送など順番通りに行わなければないらない物事がいくつもあるからです。これらを事務担当が一人で決めるのではなく、複数の理事が話し合いながら進めていくことになると、話し合うための日程調整も段取りの中に入ってきます。
手順をしっかり決めておかないとスムーズな準備は望めません。それでは、段取り良く開催の準備をするため、なすべきことを順を追ってみていきましょう。
- 議案の決定
通常総会では、定款で定めた範囲内の事項について議決します。事業計画及び活動予算、事業報告及び活動決算、役員の選任など総会の議決対象になっている事項が議案になります。
- 議案決定の手続き
最初に、素案が必要です。法人にもよりますが、代表理事、理事、事務担当者等が素案をつくり、それを基に、理事会等の機関で内容を吟味し総会議案として決定します。理事会を設置している法人なら理事会を招集し総会にかける議案を審議することになります。
- 開催日の決定
通常総会は、前事業年度の活動報告、活動決算を審議するため、前事業年度終了後に開催します。所轄庁への報告書の提出期限は所轄庁によって若干の違いはありますが、おおむね事業年度終了の三カ月後以内としているところが多いようです。
事業年度が4月1日から翌年3月31日までの法人の場合、提出期限は6月30日ということになります(正確な期限は所轄庁にお問い合わせください)。提出するためには書類をきちんとそろえる時間もほしいので、遅くとも、提出期限の7日から10日前までには総会を開催し、議決を得ておきたいところです。会場を借りる場合は、その会場の空き状況も調べたうえで、開催日を決めることになります。
- 招集通知の準備
理事会等での審議を経て議案が決まり、開催日が確定したら、次は総会を招集する通知状の作成です。通知状には、総会の日時、場所、目的のほか、出席しない社員のため書面等で議決権を行使できる旨、代理人によって表決できる旨などを記します。これらは、招集に関して定款で定められた内容と一致させます。総会の招集者名も必要です。通常総会なら理事長、会長、代表理事等が総会を招集するなどと定款にあると思いますので、それに従います。
また、出席できない社員がいることも想定し、書面等による議決権の行使にあたって参考となる総会参考資料と議決権行使書面、代理人への表決委任状も通知状に併せて交付しておきましょう。
- 招集通知の発送
準備ができたら通知状を社員に発送します。これにも期限があり、NPO法上、少なくとも5日前までに通知しなければならないことになっています。
また、総会に出席しない社員は書面で、または代理人によって表決できることになっています。従って、欠席する社員からの議決権行使書面、または代理人へ委任する旨の通知状が総会開催までに返ってくる日数の余裕をみておくことも必要です。催促することもあるでしょうから、状況が許すなら、5日前までというより総会当日まで2週間以上空けて通知状を発送するのが無難だと思います。
招集は、定款で定めるところにより、電子メール等の電磁的方法やファクシミリで通知することもできます。
- 総会当日のために
ー事前準備―
準備は2系統あります。ひとつは議事系統で、もうひとつは会場系統です。議事系統は事前の準備になります。まずは、議事の進行表をつくります。開会宣言から議案説明、採決、結果確認などの進行を一覧にまとめましょう。議長のほかに、司会と説明係を置くことも検討します。スムーズに運営するため、進行表には議事のシーンごとに基本のセリフを盛り込んでおきます。議事録の準備も忘れないでください。
議事進行の例 1、開会宣言 2、定数確認 3、議長選任 4、あいさつ 5、報告事項 6、議案説明 7、質疑応答 8、採決 8、結果確認 9、議長解任 10、閉会宣言 ―当日準備ー
会場系統は当日の対応になります。議案等の総会資料、出席者数確認のための名簿、マイクを用意するほか、議長席、司会者席、出席者席などの設営も必要です。貸会場の場合は、会場運営側と調整します。議事進行表を議長、司会、説明係に渡します。
まとめ
以上が前事業年度終了から総会の開催に至るまでの基本的な流れです。滞りなく物事が進むよう、節目になるイベントの時期を把握し、イベントごとに何をすべきかを想定しておきましょう。
理事会を設置している法人の場合は、総会開催の前に理事会開催が入ってきます。ここで紹介したような準備の工程を理事会に置き換えて、総会開催準備の前に取り組むことになります。
所轄庁への報告書提出の期限は決まっていますので、事業年度終了後の事務作業の密度は濃くなりますので、頑張りましょう。