会計実務について会計1 

会計は正規の簿記の原則で

NPO法人は特定非営利活動促進法(NPO法第27条)により、会計の原則が定められています。

要約すると、▼会計簿は正規の簿記の原則に従って正しく記帳する▼計算書類(活動計算書及び貸借対照表)及び財産目録は、会計簿に基づき真実な内容を明瞭に示したものとする▼採用した会計処理の基準及び手続きは毎事業年度継続し、みだりに変更しないーとなっています。

これらの原則に則って計算書類等の作成にあたります。

NPO法人会計基準

NPO法人が取り組む特定非営利活動は、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするとNPO法で定義されています。ゆえに、組織運営には高い公益性と透明性が求められています。

こうしたNPO法人には、それにふさわしい会計基準が必要であるという議論がNPO関係者らの間で深まり、「NPO法人会計基準」と呼ばれる基準が策定されました。内閣府のNPO法人に関する手引書の計算種類等の作成例も、この基準をベースにしています。

どのような会計の基準を採用するかの決まりはありませんが、NPO法人会計基準に準拠していれば問題はないでしょう。

この基準の詳細については下記を参考にしてください。

みんなで使おう!NPO法人会計基準

会計処理の流れ

会計処理は、すべてのお金の動き、取引の内容を日付順に正確に記録することから始まります。お金の出入り、取引の内容などを記録したり、集計したりする帳簿には以下のようなものがありますので、法人に適した必要な書式、書類を準備しましょう。

NPO法人には計算書類を含む所轄庁への事業報告書類を5年間事務所へ備え置く規定があるほか、帳簿や証憑書類によっては、保存期間を7年から10年とする法律もありますので、法人内でしっかり管理しなければなりません。

  • 現金出納帳
  • 預金出納帳
  • 入金伝票
  • 出金伝票
  • 振替伝票
  • 仕訳帳
  • 総勘定元帳
  • 出金伝票
  • 補助簿
  • 試算表
  • 証憑書類綴じ
NPO法人の収益

NPO法人は、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与すべく特定非営利活動に取り組んでいます。

こうした目的に賛同した個人や団体、法人から提供された資金や、自治体から交付された補助金などを基に事業を計画し、実施します。つまり、NPO法人には、物を売ったりサービスを提供したりして得る事業収益のほかにも、多様な資金源があるということです。

会計処理では、収益の種類を区分して表示しなければなりません。

収益の種類
  1. 正会員会費

    法人の目的に賛同して入会した個人や団体が定期的に支払う資金

  2. 賛助会員会費

    法人の事業を賛助するために入会した個人や団体が支払う資金

  3. 寄附金

    法人の活動を支援するため個人や団体が寄せる資金

  4. 補助金・助成金

    国や地方公共団体等、民間などが給付する資金。国や地方公共団体かたの給付金は税金が財源となる。

  5. 事業収益

    販売やサービス提供の対価として得る資金

収益事業の税金

NPO法人は法人税法上は、「公益法人等」の位置づけです。このため、計算書の事業収益の科目に計上する収益の出どころの事業が、法人税法上の収益事業に該当する場合は法人税、法人住民税、法人事業税が課税されます。基準期間又は特定期間の課税売上が1000万円を超えたときは消費税も納めます。

印紙税法では、NPO法人が発行する領収書は「営業に関しないもの」として取り扱われるため非課税になります。ただし、契約書の印紙は、契約内容によって必要になる場合があります。

NPO法人に関する税金は種類、納付方法等手続きもさまざまです。行う事業が法人税法上の収益事業に該当するかどうかも含め、詳しくは所轄税務署、公認会計士、税理士等に相談すると良いでしょう。